フェンスと敷地の境界(Fencing Act 1978・property boundaries)
ひとことで言うと…
NZでは、隣の敷地との境界のフェンスを作ったり直したりするとき、隣人が費用の半分を負担するのが原則です(フェンス法 Fencing Act 1978)。話し合いで決まらないときは、法律の通知の手続きや紛争審判所(Disputes Tribunal)を使えます。境界の正確な位置は、免許を持つ地籍測量士が確認します。家を持つ人、家を買う人向けです。
詳細
フェンス法(Fencing Act 1978)の基本
隣り合う土地の境界のフェンスは、フェンス法(Fencing Act 1978)で扱います。
- 境界に十分なフェンス(adequate fence)がない場合、隣り合う土地の占有者(occupier)は、フェンスの工事費用を半分ずつ負担するのが原則です(第9条)。合意や裁判所の命令があれば、別の割合にもできます。
- 「十分なフェンス」とは、その目的に照らして、種類、状態、修理の状況が合理的に満足できるフェンスのことです(第2条)。
- フェンスは、中心が境界線の上にくるように建てます。柱を使う場合は、柱を境界線の上か、できるだけ近くに立てます(第22条)。
govt.nzも、境界のフェンスを新しく作ったり直したりするときは、通常は隣人が費用の半分を負担すると説明しています(govt.nzのページ)。
通知(fencing notice)と異議(cross-notice)
話し合いで決まらないときは、法律の通知の手続きがあります。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| フェンスの通知(fencing notice、第10条) | 境界やフェンスの場所、工事の内容(費用を見積もれる程度に具体的に)、応じない場合の結果を書いて、隣人に渡す。費用を半分ずつにしない場合は、その割合も書く |
| 異議の通知(cross-notice、第11条) | 通知を受けた人は、受け取ってから21日以内に、異議や別の案を出せる |
| 異議を出さなかった場合(第11条) | 21日以内に異議を出さないと、通知の内容に同意したとみなされる |
| 工事の開始(第14条) | 異議が出なければ21日を過ぎてから、争いが解決すればその時点から工事を始められる |
通知の書式は、フェンス法の別表(Schedule)にあります。
急ぎの修理と、壊した人の負担
- 事故などでフェンスが急に壊れ、すぐ直す必要がある場合は、通知なしで修理し、費用の半分を隣人に請求できます(第16条)。
- 一方の占有者がフェンスを壊した場合は、その人が修理費用の全額を負担します(第17条)。
フェンス法が適用されない土地
道路、国立公園、鉄道の土地、川沿いなどの保護地(marginal strip、esplanade reserve など)との境界には、フェンス法は適用されません(第3条)。
争いになったとき
フェンスの争いは、地方裁判所(District Court)と紛争審判所(Disputes Tribunal)が扱います(第24条)。紛争審判所は少額の争いを扱う機関で、フェンスの争いも対象です(紛争審判所のページ)。
境界の位置を確かめる
フェンスの位置で争う前に、境界の正確な位置を確認しておきます。
- 土地の境界は、地籍測量(cadastral survey)の記録で決まっています。記録は、土地情報局(Toitū Te Whenua Land Information New Zealand、LINZ)が管理しています。
- 地籍測量を行えるのは、免許を持つ地籍測量士(licensed cadastral surveyor)か、その指示のもとで働く人だけです(LINZのページ)。
- 権利の記録(record of title)や測量図(survey plan)は、LINZの「Land Record Search」で誰でも検索し、注文できます(LINZのページ)。権利の記録については土地の権利の種類を参照してください。
共有の車道と排水管
- 2軒以上の家が使う車道(shared driveway)は、通常、それらの家の所有者が共有し、維持と修理の責任を持ちます。費用の分担は権利の記録で確認します。
- 複数の家が使う私有の排水管(private drain)の修理費用は、権利の記録やカウンシルの条例(bylaw)で決まっていることがあります。
建築許可
高さ2.5mまでのフェンスは、建築許可(building consent)がいらない工事です。ただし、プールのフェンスはこの例外に入らず、建築許可が必要です(Building Performanceのページ)。建築許可については建築確認とリフォームを参照してください。
手順
- 権利の記録と測量図で、境界の位置を確認する。不明なときは地籍測量士に相談する。
- 隣人と話し、フェンスの高さ、材料、予算、費用の分担を決める。決まった内容は書面に残す。
- 合意できないときは、フェンス法の書式でフェンスの通知を渡す。
- 通知を受けた側は、21日以内に異議の通知を出すかどうか決める。
- それでも解決しないときは、紛争審判所に申し立てる。
費用
| 項目 | 金額(2026年10月時点) |
|---|---|
| 権利の記録(LINZのオンライン注文) | NZ$8 |
| 測量図(LINZのオンライン注文) | NZ$8 |
| 紛争審判所の申立手数料(請求額NZ$2,000未満) | NZ$62 |
| 紛争審判所の申立手数料(NZ$2,000以上NZ$5,000未満) | NZ$124 |
| 紛争審判所の申立手数料(NZ$5,000以上NZ$30,000以下) | NZ$248 |
- LINZの料金はLINZのページ、紛争審判所の手数料は紛争審判所のページで確認してください。紛争審判所の手数料は返金されませんが、審判官が相手に支払いを命じることがあります。
- フェンスの争いで紛争審判所が扱える金額の上限は、申し立ての前に紛争審判所に確認してください。
- 地籍測量士の費用は、事務所や土地によって違います。
日本との違い・注意点
ここが日本とちがうよ!
- NZでは、境界のフェンスの費用を隣人と半分ずつ負担するのが法律上の原則です。工事の前に、必ず隣人と話してください。
- フェンスの通知を受け取って21日以内に異議を出さないと、同意したとみなされます。通知を受け取ったら、すぐに内容の確認が必要です。
- 日本では、土地の筆界が分からないとき、法務局の筆界特定登記官が筆界の位置を特定する「筆界特定制度」があります(法務省のページ)。NZでは、境界の確認は免許を持つ地籍測量士に依頼します。
- 個別の争いの判断は、紛争審判所、弁護士、地籍測量士に相談してください。
ここは大事だよ
ビザ・税・医療・法律などの制度は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の内容を確認してください。このページは一般的な情報で、個別の助言ではありません。