LIMと建物検査(LIM and building inspection)
NZで家を買う前の主な調査は、カウンシルのLIM(土地情報の報告書)、建物検査、LINZの権利の調査(title search)の3つです。LIMは申し込みから10営業日以内に出され、費用はカウンシルごとに違います。雨漏り(weathertightness)の問題はLIMに出ないこともあるため、建物検査と合わせて確認します。
詳細
家を買う前の調査(due diligence)のうち、よく使われるのがLIM、建物検査、権利の調査です。購入全体の流れは不動産購入の流れを見てください。
| 調査 | 誰に頼むか | わかること |
|---|---|---|
| LIM(Land Information Memorandum) | 物件がある地域のカウンシル(市や地区の役所) | カウンシルが持っている土地と建物の情報 |
| 建物検査(building inspection) | 建物検査士(building inspector) | 建物の状態、欠陥、修繕が必要な箇所 |
| 権利の調査(title search) | LINZ(Toitū Te Whenua Land Information New Zealand)。弁護士などが取り寄せることも多い | 所有者、地役権・制限・抵当などの権利 |
LIM(土地情報の報告書)
LIMは、地方自治体公文書・会議法(Local Government Official Information and Meetings Act 1987)の第44A条に基づく報告書です。誰でもカウンシルに申し込めて、カウンシルは申し込みから10営業日以内に出すことになっています。
法律でLIMに載せることになっている主な情報は次のとおりです。
- カウンシルが把握している土地の特徴(浸食、地盤沈下、有害な汚染物質など)
- 雨水と下水の排水設備
- 飲み水の供給
- 未納のレイツ(rates、固定資産税)
- 建築許可(building consent)、証明書、通知
- 雨漏り住宅(weathertight homes)の情報
- 土地利用の許可とその条件
- 電気・ガスなどの事業者から知らされた情報
カウンシルは、これ以外の情報を加えることもできます。settled.govt.nzは、文化財の保護や都市計画のゾーンなども載ると説明しています。
LIMには限界もあります。カウンシルが知らされていない問題(たとえば雨漏り)はLIMに出ません。カウンシルの物件ファイル(property file)には、敷地の図面や建物の元の図面、建築許可、完了証明書(code compliance certificate)など、LIMにない情報が入っていることがあります。
オークランド・カウンシルの例
- LIMの申し込みはオンラインだけです。
- 通常のLIMは最長10営業日、急ぎ(urgent)のLIMは最長3営業日で出されます。処理は申し込みの翌営業日から始まります。
- 12月20日〜1月10日や祝日は営業日に数えません。
詳しくはオークランド・カウンシルのページで確認してください。
建物検査(building inspection)
- ビジネス・イノベーション・雇用省(MBIE)の建築情報サイトbuilding.govt.nzは、購入前の建物検査はすべての物件で勧められ、雨漏りのおそれがある家や自然災害で傷んだ家では欠かせないとしています。
- アパートやタウンハウスでは、建物全体の欠陥の責任を共有することがあるため、特に検査が大切だとしています。
- settled.govt.nzは、建物検査の基準NZS 4306:2005に沿った報告書を頼むよう案内しています。
- NZには建物検査士の免許制度はありません。settled.govt.nzは、BOINZ、NZIBI、NZIBSなどの団体の認定を受けた検査士を例に挙げています。
- 検査士が十分な賠償責任保険(indemnity insurance)に入っているかも確認するよう勧めています。
- 売り手が用意した報告書に頼ると、後で問題が見つかっても保護されないことがあります。自分で依頼した報告書を使います。
雨漏り(weathertightness)の確認
- 雨漏りする建物(leaky building)とは、外壁と内壁の間に水分が入り込む建物です。壁の腐れやカビの原因になります。
- settled.govt.nzによると、特にリスクが高いのは、1980年代後半から2000年代半ばに、しっくい風の一体型の外壁(monolithic cladding)で建てられた建物です。
- 床がふわふわする、カビや臭い、天井のしみ、外壁のひび割れなどが兆候として挙げられています。
- MBIEのWeathertight Servicesに、その物件が雨漏りの解決制度の対象になったことがあるかを問い合わせられます。
- 制度の対象になった物件はLIMに載りますが、裁判や当事者どうしの和解で解決したものは載らないことがあります。
- 外壁を張り替えた家には、カウンシルの建築許可の記録があるはずです。
雨漏りに詳しい検査士に依頼するよう、building.govt.nzのページは勧めています。
権利の調査(title search)
権利の記録(record of title)では、次のことがわかります。
- 法律上の所有者(proprietor)
- 権利の種類
- 物件にかかる権利や制限(interests)
| 主な権利・制限 | 内容 |
|---|---|
| 地役権(easement) | 他人の土地を、決まった目的(配管や通路など)で使う権利 |
| 制限条項(covenant) | 物件で行える、または行えない活動を定めたもの |
| 抵当権(mortgage) | 貸し手の権利 |
| 異議申立て(caveat) | 第三者が土地に権利を主張していることの通知 |
権利の記録は、LINZから取り寄せるか、売り手側の仲介業者に求めます。ユニットタイトル(unit title、区分所有)の物件では、売り手は契約前の開示書類(pre-contract disclosure statement)を出す必要があります。
手順
- 物件がある地域のカウンシルに、LIMを申し込む。
- 必要に応じて、カウンシルの物件ファイルも確認する。
- NZS 4306:2005に沿う報告書を作る建物検査士に、自分で検査を依頼する。築年数や外壁によっては、雨漏りに詳しい検査士を選ぶ。
- LINZの権利の記録を取り寄せ、地役権や制限条項などを確認する。
- 結果を弁護士かコンベヤンサー(conveyancer)に見てもらい、売買契約の条件(LIM、建物検査など)に反映させる。
費用
LIMの手数料はカウンシルごとに決まっています。例として、クライストチャーチ市カウンシルの2026/2027年度の手数料(GST込み)は次のとおりです。
| 種類 | 住宅 | 商業 | 発行まで |
|---|---|---|---|
| 通常(standard) | NZ$320 | NZ$500 | 10営業日 |
| 急ぎ(fast track) | NZ$420 | NZ$600 | 5営業日 |
物件がある地域のカウンシルのページで、最新の金額を確認してください。
| そのほかの費用 | 金額(2026年10月時点) |
|---|---|
| 権利の記録(LINZのオンライン注文) | NZ$8 |
| 建物検査 | 依頼先ごとに違う。依頼前に見積もりを確認 |
日本との違い・注意点
- LIM、建物検査、権利の調査は、買い手が自分で手配します。売り手が用意した建物の報告書だけに頼らないよう、settled.govt.nzは注意しています。
- LIMは「その時点でカウンシルが持っている情報」です。カウンシルが知らない問題は載りません。
- NZには建物検査士の免許制度がありません。検査士の所属団体、経験、保険を確認して選びます。
- オークションなど、売り方によって調査を済ませる時期が変わります(不動産購入の流れ)。
- 調査結果の読み方や契約の判断は、弁護士かコンベヤンサーに相談してください。