家の購入と弁護士・コンベヤンサー(Conveyancing)
NZで家を買うときの法的な手続き(conveyancing)は、弁護士(lawyer)か登録コンベヤンサー(conveyancer)に頼みます。売買契約(Sale and Purchase Agreement)の確認と条件の交渉、権利の調査、決済と登記までを担います。契約は署名すると法的に拘束されるため、署名前に相談します。NZで家を買う予定の人向けです。
詳細
不動産の権利を移す法的な手続きを、コンベヤンシング(conveyancing)と呼びます。NZでは、弁護士(lawyer)と登録コンベヤンサー(registered conveyancer)のどちらも、この手続きを行えます(settled.govt.nzのページ)。購入全体の流れは不動産購入の流れを見てください。
弁護士とコンベヤンサーの違い
| 弁護士(lawyer) | コンベヤンサー(conveyancing practitioner) | |
|---|---|---|
| 資格を出す団体 | NZ法曹協会(New Zealand Law Society) | NZコンベヤンサー協会(New Zealand Society of Conveyancers) |
| 扱える仕事 | 不動産の手続きを含む法律業務全般 | 不動産の取引などの手続き(conveyancing)。裁判に関わる仕事など、弁護士だけに認められた業務は扱えない |
| 向いている取引 | 複雑な取引や法的な問題があるとき(個人・事業・資金の事情など) | 単純な購入 |
どちらも、法律(Lawyers and Conveyancers Act 2006)に基づく資格です。コンベヤンサーは、NZコンベヤンサー協会の有効な実務証明書(practising certificate)を持つ人と定められています(法令)。
settled.govt.nzは、予算と取引の複雑さで選び、物件を探し始める前に決めておくよう勧めています。購入は早く進むことがあるためです。
弁護士・コンベヤンサーがすること
NZ法曹協会とsettled.govt.nzの案内では、主に次のことを担います(NZ法曹協会のページ)。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 契約の前 | 売買契約書を確認し、条件の書き方や価格・決済日の交渉を助ける |
| 条件の確認 | 権利の調査(title search)など、契約の条件を期限までに確かめる |
| 決済の前 | 銀行と書類・支払いの準備を進める。本人確認をし、所有権移転の委任状(authority to transfer)などに署名してもらう |
| 決済日 | 売り手側に代金を払い、所有権の移転と抵当権(mortgage)を登記する |
売買契約(Sale and Purchase Agreement)
売買契約は、買い手と売り手の間の法的な拘束力のある契約です。次のことを定めます(settled.govt.nzのページ)。
- 価格と手付金(deposit)
- 決済日(settlement date):残りの代金を払う日。通常は入居できる日でもある
- 家と一緒に売る動産(chattels)
- 条件(condition)と、条件を満たすまでの営業日数
コンロ、カーペット、ブラインドなどの動産は、契約書に書かれたものだけが売買に含まれます。書かれていない動かせる物は含まれません。
NZ法曹協会は「弁護士と相談する前に契約書に署名しない」よう呼びかけています。不動産仲介業者は、REA(Real Estate Authority)の売買契約のガイドを買い手に渡すことになっています。
条件付きの契約
条件付きの契約では、条件が満たされないときに契約を取り消せます。よくある条件は次のとおりです。
- ローンの承認(finance)
- 建物検査(building report)
- LIM(カウンシルの土地情報の報告書)
- 権利の調査(title search)
条件の内容と期限は、弁護士・コンベヤンサーと相談して決めます。オークションでは条件を付けられません(オークションとテンダー)。LIMと建物検査はLIMと建物検査、権利の種類は不動産の権利の種類を見てください。
決済前の確認
- 決済日の少なくとも2営業日前に、決済前の確認(pre-settlement inspection)をします。契約時と同じ状態か、動産がそろって動くか、鍵やリモコン、警報の暗証番号がそろっているかを確かめます。
- ローンを組む場合、住宅保険への加入が融資の条件になるのが一般的です。保険は決済までに手配します(住宅保険)。
- 売り手が前払いした固定資産税(rates)の一部を、決済のときに払うことがあります。
自然災害の保険請求がある物件
自然災害委員会(NHC)に審査中の請求がある物件を買う場合は、請求の権利を買い手に移す手続き(Deed of Assignment)が必要です。前の持ち主が保険金で修理をしなかった場合、新しい持ち主は追加の支払いを受けられません。弁護士に相談するよう案内されています(NHCのページ)。詳しくは自然災害委員会(NHC)を見てください。
弁護士の預かり金
弁護士が依頼人のお金を預かるときは、規制された信託口座(trust account)を使います。弁護士による盗用で損害が出たときは、弁護士補償基金(Lawyers’ Fidelity Fund)から1件NZ$100,000を上限に補償される場合があります。対象は盗用だけで、過失などは対象外です。発覚から12か月以内に請求します(NZ法曹協会のページ)。
苦情の窓口
まず依頼した弁護士・コンベヤンサーに伝えます。法律事務所には苦情を扱う手続きがあります。解決しないときは、NZ法曹協会かNZコンベヤンサー協会に苦情を申し立てられます(settled.govt.nzのページ)。
| 窓口 | 連絡先 |
|---|---|
| NZ法曹協会 Lawyers Complaints Service | 0800 261 801、complaints@lawsociety.org.nz |
| 不動産仲介業者の苦情:REA(Real Estate Authority) | REAのウェブサイトで確認 |
NZ法曹協会への苦情は書面で出し、匿名ではできません(NZ法曹協会のページ)。
手順
- 物件を探す前に、弁護士かコンベヤンサーを選ぶ(NZ法曹協会の「Find a lawyer」、NZコンベヤンサー協会などで探せます)。
- 費用の決め方と支払い時期の説明を受ける。
- オファーを出す前に、売買契約書と条件を確認してもらう。
- 契約後、条件を期限までに満たす(ローン、建物検査、LIM、権利の調査など)。
- 決済前に委任状とローンの書類に署名し、住宅保険を手配する。
- 決済日の2営業日以上前に、決済前の確認をする。
- 決済日に弁護士・コンベヤンサーが代金の支払いと登記を行う。
費用
弁護士・コンベヤンサーの費用は、依頼先と取引の内容によって違います。NZ法曹協会は、弁護士は費用の決め方と支払い時期を事前に説明すること、費用は「公正で妥当」でなければならないことを定めています(NZ法曹協会のページ)。依頼する前に見積もりを確認してください(2026年10月時点)。
日本との違い・注意点
- NZでは、契約書の確認から決済・登記まで、買い手が自分で選んだ弁護士かコンベヤンサーが行います。不動産仲介業者は売り手側の立場です。
- 売買契約は、署名した時点で法的に拘束されます。オファーの書類に署名する前に、必ず相談してください。
- 弁護士かどうかは、NZ法曹協会の有効な実務証明書があるかで確かめられます。
- この記事は制度の説明です。自分の取引でどの条件を付けるかなどは、弁護士・コンベヤンサーに相談してください。