NZ在住者が日本で相続するとき(相続税・相続登記/Inheritance in Japan)
ひとことで言うと…
NZに住む人が日本の家族から相続を受けると、日本の相続税や相続登記の手続きが必要になることがあります。相続登記は2024年4月1日から義務になりました。日本に住所がない相続人は、印鑑証明や住民票の代わりに、大使館・総領事館の署名証明や在留証明を使います。NZに住む日本人と家族向けです。
詳細
NZに住んでいても、日本にいる親などが亡くなると、日本の相続の手続きが必要になることがあります。主なものは次の3つです。
| 手続き | 内容 | 主な窓口 |
|---|---|---|
| 相続税の申告 | 遺産が基礎控除額を超える場合 | 日本の税務署 |
| 相続登記 | 日本の不動産(土地・建物)を相続した場合 | 日本の法務局 |
| 書類の準備 | 印鑑証明・住民票の代わりの証明書 | NZの大使館・総領事館 |
相続の手続きは家族ごとに事情が違います。具体的な判断は、税理士、司法書士、弁護士など日本の専門家に相談してください。
相続税:外国に住む相続人の課税範囲
国税庁のページによると、外国に住み日本に住所がない人が相続した財産は、原則として日本国内にある財産だけが相続税の対象です。
ただし、次の場合は、NZなど日本国外にある財産も対象になります(2026年10月時点)。
| 相続人 | 国外の財産も対象になる場合 |
|---|---|
| 日本国籍がある人 | 亡くなった日の前10年以内に、相続人が日本に住所を持っていたことがある場合。または、住所を持っていたことがなくても、亡くなった人が「外国人被相続人」や「非居住被相続人」に当たらない場合 |
| 日本国籍がない人 | 亡くなった人が「外国人被相続人」「非居住被相続人」「非居住外国人」に当たらない場合 |
用語の意味は次のとおりです。
- 外国人被相続人:亡くなった時に在留資格を持ち、日本に住所があった人
- 非居住被相続人:亡くなった時に日本に住所がなかった人で、①亡くなる前10年以内に日本に住所があったが、その間ずっと日本国籍がなかった人、または②亡くなる前10年以内に日本に住所がなかった人
たとえば、日本に住んでいた日本国籍の親が亡くなった場合、親はどちらにも当たりません。そのため、NZに住む日本国籍の子は、NZにある財産も含めて相続税の対象になります。判定は複雑なため、税務署や税理士に確認してください。
相続税の申告と期限
- 申告が必要なのは、相続などで取得した財産の合計額が、基礎控除額を超える場合です。基礎控除額以内なら、申告も納税もいりません。
- 基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です(2026年10月時点)。
- 申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。期限が土日・祝日なら、その翌日になります。期限を過ぎて納めると、延滞税がかかります。
- 日本に住所がない相続人が申告するときは、納税管理人を決め、納税地を管轄する税務署に申告・納税します。
詳しくは国税庁の相続税の申告と納税のページと相続税の計算のページで確認してください。
相続登記の義務化(2024年4月から)
法務省のページによると、相続登記の申請は2024年4月1日から義務になりました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期限 | 相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内 |
| 遺産分割で取得した場合 | 遺産分割の日から3年以内 |
| 2024年4月1日より前の相続 | 2027年3月31日までに登記する |
| 怠った場合 | 正当な理由がないと、10万円以下の過料が科されることがある |
すぐに遺産分割がまとまらない場合は、「相続人申告登記」という簡単な手続きで、期限内の義務を果たせます。自分が登記簿上の所有者の相続人であることを、登記官に申し出る制度です。ただし、不動産を売ったり抵当権を設定したりするときは、通常の相続登記が必要です。
海外に住む人の「国内連絡先」
法務省のページによると、2024年4月1日以降の所有権の登記では、所有者が海外に住んでいる場合、日本国内の連絡先(国内連絡先事項)も登記します。
- 国内連絡先には、個人や法人(不動産業者、司法書士など)がなれます。
- 連絡先になる人がいない場合は、その旨を申請情報に書き、所有者が署名・押印した上申書を出します。
大使館・総領事館で取る証明書
NZに住む日本人は、相続の手続きで、NZの大使館・総領事館が出す次の証明書を使います。
| 証明書 | 相続での主な使い道 | 手数料(2026年10月時点) |
|---|---|---|
| 署名(及び拇印)証明 | 日本の印鑑証明の代わり。遺産分割協議や不動産登記に使う | NZ$20 |
| 在留証明 | 外国に住む日本人の住所の証明。遺産相続や不動産登記に使う | NZ$14 |
- 署名証明:本人が窓口に行き、領事担当官の前で署名(と拇印)をします。代理申請はできません。提出先の書類に証明書を貼り付ける「形式1」と、証明書だけの「形式2」があります。形式1の場合は、遺産分割協議書などの書類を、署名しないまま持って行きます。原則として当日発給です(大使館の署名証明のページ)。
- 在留証明:日本国籍があり、在留届を出していて、NZに3か月以上住んでいる(または住む予定の)人が対象です。原則として、日本の住民登録を抜いていることが条件です。窓口のほか、ORRネットでオンライン申請もできます(大使館の在留証明のページ)。
手数料は期間ごとに改定されます。最新の金額は大使館の領事手数料のページにあります。証明書の種類と取り方は在留証明・署名証明などの証明書で詳しく説明しています。
手順
- 日本の家族や専門家と連絡を取り、遺産(預貯金、不動産など)と相続人を確認する。
- 遺産が相続税の基礎控除額を超えそうか確認する。超える場合は、納税管理人を決め、10か月の期限を確認する。
- 遺産分割協議書や登記の書類について、提出先(法務局、銀行、専門家)に、署名証明の形式と在留証明が必要かを確認する。
- 在留届を出していない人は先に出す。管轄の大使館・総領事館で署名証明と在留証明を取る。
- 書類を日本に送り、相続税の申告と相続登記を期限内に済ませる。
費用
- 大使館・総領事館の手数料:署名証明NZ$20、在留証明NZ$14(2026年4月1日〜2027年3月31日、2026年10月時点)
- 相続税、登記の費用、専門家への報酬は、遺産の内容によって違います。
日本との違い・注意点
ここが日本とちがうよ!
- NZでは、遺産税(estate duty)は1992年に廃止されました。贈与税(gift duty)も、2011年10月1日以降の贈与にはかかりません(IRDのページ)。ただし、NZに住んでいても、日本の相続税の対象になることがあります。
- 日本の相続税は、相続人がNZに住んでいても、条件によってはNZにある財産も対象になります。
- 相続登記の義務は、海外に住む相続人にもかかります。2024年4月1日より前の相続でも、2027年3月31日までに登記が必要です。
- 署名証明は本人が窓口に行く必要があり、代理申請はできません。公館まで行く時間を考えて、早めに準備します。
- 在留証明は、日本に帰国して住民登録をした後は申請できません。
- NZにある財産の相続は、NZの手続きが別に必要です。人が亡くなったときの手続きや遺言書を参照してください。
ここは大事だよ
ビザ・税・医療・法律などの制度は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の内容を確認してください。このページは一般的な情報で、個別の助言ではありません。