不動産購入の流れ(Buying a home)
NZで家を買うときは、ローンの事前承認、物件の調査(LIM・建物検査・権利の確認)、売買契約(Sale and Purchase Agreement)の締結、決済(settlement)の順に進みます。売り方はオークション・テンダー・交渉などがあり、条件を付けられるかが違います。NZで家を買う予定の在住者向けです。
詳細
NZ政府の住宅購入ガイドsettled.govt.nzは、購入の流れを「検討」「物件探し」「物件の調査」「申し込み(オファー)」「決済と入居」の段階に分けて説明しています。
外国籍の人は、ビザの種類などによって購入に同意(consent)が必要な場合があります。先に外国人の不動産購入規制を確認してください。
専門家に頼む
購入では、次の専門家が関わります(settled.govt.nzのページ)。
| 専門家 | 役割 |
|---|---|
| 弁護士(lawyer)または登録コンベヤンサー(conveyancer) | 契約書の確認、権利の調査、決済の手続き。複雑な取引や法的な問題は弁護士が向いています |
| 建物検査士(property inspector) | 建物の状態を調べ、報告書を作る |
| 銀行・住宅ローンアドバイザー | 住宅ローン |
| 保険会社・ブローカー | 住宅保険(多くの銀行が決済前に加入の証明を求めます) |
不動産仲介業者(real estate agent)は売り手のために働き、売り手から報酬を受け取ります。買い手の代理人ではありません。
資金の準備とローンの事前承認
銀行などから条件付きの事前承認(pre-approval)を受けておくと、いくらまで買えるかがわかります。settled.govt.nzによると、事前承認は通常無料で、有効期間は3か月です(settled.govt.nzのページ)。
事前承認があっても、銀行は売買契約書、物件の評価書(valuation)、LIMなどを追加で求めることがあります。
初めて家を買う人は、キウイセーバー(KiwiSaver)の積立金を引き出せる場合があります。加入3年以上、自分が住む家であること、口座にNZ$1,000を残すことなどが条件です(Kāinga Oraのページ)。詳しくはキウイセーバーの住宅購入引き出しを見てください。
物件の調査
オファーの前に、次のような調査をします(settled.govt.nzのページ)。
| 調査 | 内容 |
|---|---|
| LIM(Land Information Memorandum) | カウンシル(市や地区の役所)が作る報告書。その日にカウンシルが持っている物件の情報をまとめたもの。有料で、数日かかることがあります |
| 権利の調査(title search) | 所有者や、地役権(easement)・制限(covenant)・抵当などの権利を確認。LINZ(Toitū Te Whenua)の登記記録を弁護士などが調べます |
| 建物検査(building inspection) | 建物の欠陥や修繕の必要を調べる。NZの基準(NZS 4306:2005)に沿う検査士を選ぶよう案内されています |
| 評価(valuation) | 物件の市場価値の評価。有料 |
LIMには建物の図面などは入っていません。カウンシルが知らされていない問題(雨漏りなど)は、LIMに出ません。
建物検査士には、NZでは免許制度がありません。売り手が用意した報告書だけに頼ると、後で問題が見つかっても保護されないことがあります(settled.govt.nzのページ)。
売買契約(Sale and Purchase Agreement)と条件
売買契約は、買い手と売り手の間の法的な拘束力のある契約です。双方が署名すると成立します。署名の前に、必ず弁護士かコンベヤンサーに確認してもらうよう案内されています(settled.govt.nzのページ)。
契約には条件(condition)を付けられます。よく使われる条件は次のとおりです。
- ローンの承認(finance)
- 建物検査の結果(building report)
- LIMの内容
- 権利の調査(title search)
- 評価(valuation)
- 薬物(メタンフェタミン)汚染の検査
決められた期限までに条件がすべて満たされると、契約は無条件(unconditional)になります。
売り方の違い
| 売り方 | しくみ | 条件 |
|---|---|---|
| オークション(auction) | 競売で最高額の入札者が買う。最低落札価格(reserve)は公表されない | 付けられない。落札したら購入する義務がある。調査は入札前に済ませる |
| テンダー(tender) | 締め切りまでに非公開の書面でオファーを出す。売り手は通常5営業日以内に決める | 付けられる。売り手はどのオファーも受けなくてよい。締め切り前に売れることもある |
| 交渉(negotiation) | 締め切りなしでオファーを出し、売り手と条件や価格をやり取りする | 付けられる |
このほか、締め切り付きの売り方(deadline sale)もあります。
(オークション、テンダー、交渉のsettled.govt.nzのページ)
手付金(deposit)
手付金は、契約に双方が署名したときか、契約が無条件になったときに払います。settled.govt.nzは、テンダーと交渉の場合、手付金は購入価格の10%前後が一般的としています。オークションでは通常、落札した日に払い、金額は物件ごとに違います。
無条件の契約に署名した後に購入をやめると、違約の責任を問われることがあります。
決済(settlement)
決済日には、次の順に進みます(settled.govt.nzのページ)。
- 買い手の弁護士・コンベヤンサーが、売り手の弁護士・コンベヤンサーに代金を払う。
- 入金が確認されると、売り手側の弁護士か仲介業者から鍵を受け取る。
- 買い手側の弁護士・コンベヤンサーが、所有権の移転と抵当権を登記する。
決済は連鎖しているため、遅れることがあります。引っ越しは決済日の翌日にするよう勧められています。住宅保険は決済日までに手配します。
ブライトライン・テスト(bright-line test)
住宅を買ってから一定期間内に売ると、売却益に所得税がかかる制度です。2024年7月1日以降に売る物件では、取得から2年以内の売却が対象です。自宅(main home)などは、条件を満たせば対象外です(Inland Revenueのページ)。2024年6月30日以前に売った物件は、取得日によって5年または10年の期間が適用されます。自分が対象になるかは、Inland Revenueか税理士に確認してください。
手順
- 予算を決め、銀行などからローンの事前承認を受ける。
- 弁護士かコンベヤンサー、建物検査士を探しておく。
- 物件を探し、オープンホーム(open home、内覧会)で見る。
- LIM、権利の調査、建物検査などで物件を調べる。
- 売り方に合わせてオファーを出し、売買契約を結ぶ(署名前に弁護士などが確認)。
- 条件を期限までに満たし、手付金を払う。
- 住宅保険を手配し、決済日に代金を払って鍵を受け取る。
費用
LIM、建物検査、評価、弁護士・コンベヤンサーの費用は、カウンシルや依頼先ごとに違います。依頼する前に見積もりを確認してください。手付金の目安は上の「手付金」を見てください(2026年10月時点のsettled.govt.nzの案内)。
日本との違い・注意点
- 不動産仲介業者は売り手の側に立ちます。買い手は自分で弁護士やコンベヤンサー、建物検査士に依頼します。
- オークションでは条件を付けられません。落札すると購入の義務が生じるため、ローンや建物検査は入札前に済ませておきます。
- 契約書の確認、権利の調査、決済の手続きは、弁護士かコンベヤンサーが行います。
- 短期間で売ると、ブライトライン・テストで売却益に税金がかかることがあります。
- 外国籍の人は、ビザによって購入に制限があります(外国人の不動産購入規制)。