耐震性の低い建物(Earthquake-prone buildings)
NZでは、地震で人に危害を与えるおそれが高い建物を、カウンシルが「耐震性の低い建物(EPB)」に指定し、建物に掲示と補強を求めます。指定された建物は公的な登録簿(EPB Register)で住所から調べられます。一戸建てなどの住宅は原則対象外で、2026年9月の法改正でオークランドの建物は対象から外れました。アパートや店舗を借りる・買う人向けです。
詳細
耐震性の低い建物(earthquake-prone building、EPB)は、建築法(Building Act 2004)に基づき、中程度の地震で人に危害を与えるおそれが高いとして指定される建物です。この仕組み(EPB制度)は2017年7月1日に始まり、各地のカウンシル(territorial authority)が指定と管理を行います。目的は、地震のときの人命の危険を減らすことです(building.govt.nzのページ)。
EPBに指定されても、すぐに危険という意味ではありません。多くの場合、補強工事を計画している間も建物を使い続けられます(利用者向けのページ)。
2026年の法改正
建築(耐震性の低い建物)改正法(Building (Earthquake-prone Buildings) Amendment Act 2026)が2026年9月に成立しました。2026年10月時点の主な内容は次のとおりです(EPB Registerのページ、Seismic Mapのページ)。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 成立直後から | オークランド、チャタム諸島、北島北部の地震リスクの低い地域(low seismic zone)の建物は、EPB制度の対象外。オークランドのEPBは登録簿から削除が進んでいる |
| 2027年6月30日まで | それ以外の地域では、今の制度が続く |
| 2027年7月1日から | 新しい制度が始まる。対象は、公共の場所に面した外壁を持つ無補強れんが造り(unreinforced masonry)の建物と、コンクリートなど重い材料で造られた3階建て以上の建物に絞られる |
新しい制度の評価方法(EPB Methodology)は、2027年の初めに公表される予定です。
住宅は対象になるか
- 一戸建てや、1〜2世帯が使うタウンハウスは、EPBになりません。
- アパート、ホステル、ボーディングハウスなどは、地震リスクが中程度か高い地域(medium / high seismic zone)にあれば、EPBになることがあります。
今の制度では、2階建て以上で、3戸以上の住戸があるか、ホステル・ボーディングハウスなどとして使われている住宅の建物が対象です(制度のしくみのページ)。住所ごとの地震リスクの区分と2027年7月からの要件は、Seismic Mapで確認できます。
EPBの掲示(EPB notice)
EPBに指定された建物には、見やすい場所に掲示(EPB notice)を出すことが義務づけられています。掲示には次の種類があります(掲示のページ)。
| 掲示の枠 | 意味 |
|---|---|
| オレンジと黒のしま模様 | 耐震評価が0%以上20%未満、または技術的な評価が出されていない |
| 白と黒のしま模様 | 耐震評価が20%以上34%未満 |
| オレンジの枠 | 2017年7月1日より前に旧制度(第124条)の通知を受け、評価が不明 |
| 免除の通知(exemption notice) | 壊れたときの影響が小さいとして、免除を受けた建物 |
持ち主が掲示を出さない場合、罰金が科されることがあります。
補強の期限
指定された建物の持ち主は、通知に書かれた期限までに補強工事を終える必要があります。期限は通知を受けた日から数えます(今の制度)。
| 地震リスクの区分 | 優先度の高い建物 | その他の建物 |
|---|---|---|
| 高い(high) | 7.5年 | 15年 |
| 中程度(medium) | 12.5年 | 25年 |
| 中程度(オタゴ沿岸部) | — | 35年 |
登録簿(EPB Register)の調べ方
EPB Registerは、カウンシルがEPBと判断した建物の公的な登録簿です。住所で検索でき、所在地、写真、EPBの掲示の写し、耐震評価の情報などが載っています。情報はカウンシルが記録し、更新します(登録簿のページ)。
- 判断は法律の期限に沿って順に進むため、載っていないことが「評価済みで問題ない」という意味とは限りません。
- 見つからないときは、その地域のカウンシルに問い合わせます。
- 登録簿についての問い合わせ先は、info@building.govt.nz、0800 24 22 43 です。
アパートを買うとき
政府の住宅購入ガイドsettled.govt.nzは、アパートを買う前に建物の今の耐震評価(earthquake rating)を確かめるよう勧めています。ユニットタイトル(unit title)の建物では、ほかの部屋や建物全体の問題が自分の負担になることもあります。長期修繕計画、少なくとも12か月分のボディコーポレート(管理組合)の議事録、建物の保険の内容も確認します(settled.govt.nzのページ)。詳しくはボディコーポレートを見てください。
手順
- 借りる・買う建物の住所をEPB Registerで検索する。
- 建物の入り口などにEPBの掲示がないか確かめる。
- 掲示があれば、評価の区分と補強の期限を確かめる。
- アパートを買う場合は、ボディコーポレートに耐震評価、補強の計画、費用の負担を問い合わせる。
- 不明な点は、その地域のカウンシルに問い合わせる。購入では弁護士にも相談する(家の購入と弁護士・コンベヤンサー)。
日本との違い・注意点
- NZのEPB制度は、建物を一律に使用禁止にする仕組みではありません。指定後も、補強の期限まで使われている建物があります。
- 制度は2026年9月の法改正で大きく変わり、2027年7月1日からさらに変わります。オークランドの建物は、すでに対象外です。古い情報に注意してください。
- 一戸建てはEPB制度の対象外です。EPBに当たらないことは、建物の耐震性が確認されたという意味ではありません。家を買うときは建物検査も受けてください(LIMと建物検査)。
- 地震への日頃の備えは地震・津波の備え、保険は自然災害委員会(NHC)を見てください。