住宅ローンの基本(Home loans)
NZの住宅ローンには、準備銀行(RBNZ)が決めた頭金の比率(LVR)と借入額の対収入倍率(DTI)の規制があります。2026年10月時点で、自分が住む家では頭金20%未満の貸出は銀行の新規貸出の25%までに制限されています。金利の固定・変動の違いと、免許を持つアドバイザーの確かめ方もまとめます。
詳細
NZの住宅ローンは「モーゲージ(mortgage)」と呼ばれます。銀行などの貸し手(lender)が貸し、準備銀行(Reserve Bank of New Zealand、RBNZ)が貸出の比率に規制をかけています。購入全体の流れは不動産購入の流れを見てください。
LVR規制(頭金の比率)
LVR(loan-to-value ratio)は、物件の価値に対する借入額の割合です。例えば頭金20%で80%を借りると、LVRは80%です。
RBNZは、LVRが高い(頭金が少ない)貸出を、銀行の新規貸出の一定割合までに制限しています。2025年12月1日からの設定で、2026年10月時点の内容は次のとおりです。
| 区分 | 規制の内容 |
|---|---|
| 自分が住む家(owner-occupier) | LVR 80%超(頭金20%未満)の貸出は、新規貸出の25%まで |
| 投資用(investor) | LVR 70%超(頭金30%未満)の貸出は、新規貸出の10%まで |
これは銀行全体の割合の制限で、頭金20%未満では借りられないという意味ではありません。ただし、頭金が少ない貸出は枠が限られます。Kāinga Oraによると、多くの貸し手は最低20%の頭金を求めています。
Kāinga Oraのローン(ファースト・ホーム・ローンを含む)、借り換え(元の借入額を超えないもの)、新築の建築ローン(開発業者から完成後6か月以内に買う場合を含む)などは、規制の対象外です。詳しくはRBNZのページで確認してください。
DTI規制(借入額の対収入倍率)
DTI(debt-to-income)は、借入の合計が税引き前の年収の何倍かを示す数字です。
- 計算:(今ある借入+新しいローン)÷ 税引き前の年収
- 借入には、クレジットカードの残高ではなく利用限度額も含まれます。
2024年7月1日から導入され、2026年10月時点の内容は次のとおりです。
| 区分 | 規制の内容 |
|---|---|
| 自分が住む家 | DTIが6倍を超える貸出は、新規貸出の20%まで |
| 投資用 | DTIが7倍を超える貸出は、新規貸出の20%まで |
例えば税引き前の年収がNZ$100,000で他に借入がない人が、自分が住む家のためにNZ$600,000を超えて借りると「DTIが高い貸出」になります。対象外の貸出はLVR規制とほぼ同じです。詳しくはRBNZのDTIの説明ページで確認してください。
頭金(deposit)とローンの事前承認
- 頭金には、自分の貯金のほか、条件を満たせばキウイセーバー(KiwiSaver)の積立金を使えます(キウイセーバーの住宅購入引き出し)。
- Kāinga Oraのファースト・ホーム・ローン(First Home Loan)は、選ばれた銀行などが貸し、Kāinga Oraが保証する仕組みで、頭金を5%に下げられます。条件は取り扱う貸し手に確認するよう案内されています(Kāinga Oraのページ)。
- 物件を探す前に、条件付きの事前承認(pre-approval)を受けておくと、いくらまで借りられるかがわかります。settled.govt.nzによると、事前承認は通常無料で、有効期間は3か月です(settled.govt.nzのページ)。
固定金利と変動金利
政府系の家計情報サイトSorted(退職委員会 Retirement Commission が運営)は、金利の種類を次のように説明しています。
| 種類 | しくみ | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 固定金利(fixed) | 6か月から5年の間、金利が変わらない | 返済額が予想しやすい。期間中の繰上返済は制限され、違約金(break fee)がかかることがある |
| 変動金利(floating) | 市場の金利に合わせて変わる | 繰上返済がしやすい。返済額が予想しにくい |
| 分割(split) | ローンを固定と変動に分ける | 両方の特徴を組み合わせる |
返済の方式
Sortedによる主な方式は次のとおりです。
| 方式 | しくみ |
|---|---|
| テーブルローン(table loan) | 25〜30年などで毎回同じ額を返す。NZで最も一般的。初めは利息の割合が大きい |
| 元金均等(reducing / straight-line) | 元金を毎回同じ額ずつ返す。初めの返済額が大きい |
| 利息のみ(interest-only) | 1〜5年など、利息だけを払う。元金は減らない |
| リボルビング・クレジット(revolving credit) | 当座貸越のような仕組み。返済や引き出しの自由度が高い |
| オフセット(offset) | 預金口座の残高をローンの残高と相殺して利息を計算する。預金に利息は付かない |
詳しくはSortedのページで確認してください。
モーゲージ・アドバイザー(mortgage adviser)
モーゲージ・アドバイザーは、予算や借りられる額を一緒に考え、ローンの選択肢と費用を説明し、決済まで手続きを進める専門家です。
- 金融アドバイスをする事業者は、金融市場庁(Financial Markets Authority、FMA)の免許が必要です。アドバイザーは自分で免許を持つか、免許を持つ事業者のもとで働きます。
- 免許を持つ事業者とアドバイザーは、会社登記所(Companies Office)の金融サービス提供者登録(Financial Service Providers Register、FSPR)で調べられます。
- 多くのアドバイザーは、貸し手から借入額に応じた手数料(commission)を受け取ります。アドバイザーは、どのように報酬を受け取り、利用者がいくら払うかを説明する必要があります。
- 一定期間内にローンを終えたり他の貸し手に移したりすると、手数料の返還(clawback)に伴う費用を求められることがあります。この費用は前もって説明される決まりです。
詳しくはFMAのモーゲージ・アドバイスのページとアドバイザーの探し方のページで確認してください。
苦情の申し立て
銀行やアドバイザーなどの金融サービス事業者には、苦情の受付の仕組みがあります。解決しない場合は、事業者が加入している無料の紛争解決機関に相談できます。機関は次の4つです(アルファベット順)。
- Banking Ombudsman Scheme(BOS)
- Financial Dispute Resolution Service(FDRS)
- Financial Services Complaints Ltd(FSCL)
- Insurance & Financial Services Ombudsman(IFSO)
詳しくはgovt.nzのページで確認してください。
手順
- 収入、今ある借入、クレジットカードの限度額を整理し、予算を考える。
- 頭金の額を確認する。キウイセーバーを使う場合は、運用会社に条件を確認する。
- 銀行か、FSPRで免許を確認したモーゲージ・アドバイザーに相談する。
- ローンの事前承認を受ける。
- 物件が決まったら、金利の種類(固定・変動・分割)と返済方式を決め、正式に申し込む。
- 決済日までに住宅保険を手配する。
費用
金利、手数料、アドバイザーの報酬は、貸し手やアドバイザーごとに違います。アドバイザーは報酬の受け取り方と利用者の負担を説明する決まりなので、申し込む前に確認してください。リボルビング・クレジットには、最大NZ$500の申込手数料がかかることがあるとSortedは説明しています(2026年10月時点)。
日本との違い・注意点
- LVRとDTIは、RBNZが銀行に課す規制です。銀行の審査の基準とは別に、この枠があります。設定は見直されることがあるので、最新の内容はRBNZのページで確認してください。
- Sortedの説明では、固定金利の期間は6か月から5年です。ローンの返済期間全体より短いため、固定期間が終わったあとの金利を考えておく必要があります。固定期間中の繰上返済には違約金がかかることがあります。
- アドバイザーの多くは貸し手から手数料を受け取ります。報酬の仕組みと、手数料の返還に伴う費用を確認してください。
- 外国籍の人は、ビザによって家の購入に制限があります(外国人の不動産購入規制)。
- この記事は制度の説明です。借入の判断は、銀行や免許を持つアドバイザーに相談してください。