家賃収入の税金(Residential rental income tax)
NZで住宅を貸して家賃を受け取ると、経費を引いた所得に所得税がかかり、物件ごとにIR3Rを作って確定申告書(IR3など)で申告します。赤字は給料などと相殺できず、翌年以降に繰り越します。2025年4月1日からローン利息は100%経費にでき、売却益はブライトラインテスト(2年)の対象になることがあります。
詳細
住宅や部屋、土地などを貸して受け取る家賃は、原則として所得です。受け取った年度の所得として、所得税がかかります。以下は2026年10月時点のIRD(Inland Revenue、内国歳入庁)の説明です。
申告のしかた
| 書類 | 使う人 |
|---|---|
| IR3R(賃貸収入の明細) | 物件ごとに1枚作る |
| IR3 | 個人 |
| IR3NR | NZの非居住者の個人 |
| IR7 | パートナーシップ(共同所有など) |
| IR6 | 信託・遺産 |
IR3Rで物件ごとの家賃収入と経費をまとめ、確定申告書と一緒に出します。myIRで手続きできます。IR3の期限は、税理士(tax agent)に頼んでいる場合や延長を受けた場合を除き、7月7日です。
記録(収入と経費の書類)は7年間保存します。IRDの手引き「IR264 Rental income」も参考になります。
所得の計算
- 1年間の家賃収入を合計する。
- 認められる経費を引く。
- 残った額に所得税がかかる(所得税の税率)。
主な経費
| 経費にできる | 経費にできない |
|---|---|
| 保険料、レイツ(固定資産税) | 物件の購入代金などの資本的支出 |
| ローンの利息(下記) | ローンの元本の返済 |
| 管理会社の手数料、会計士の費用 | 増築や改良(ヒートポンプの設置など) |
| 修繕・維持の費用(壊れた窓の交換、塗り直しなど) | 価値を上げる修繕 |
| 動産などの減価償却 | 土地と建物の減価償却 |
| 点検や修繕のための移動費 | 自分の労働の対価 |
| 購入時の弁護士費用(NZ$10,000以下) | 売却時の不動産会社の手数料・弁護士費用 |
ボディコーポレート(区分所有の管理組合)の通常の管理費は、多くの場合経費にできます。改良のための費用は経費にできません。
ローン利息の扱い
住宅の賃貸物件のローン利息は、2021年10月から経費にできる割合が制限されていましたが、段階的に戻されました。
| 期間 | 経費にできる利息の割合 |
|---|---|
| 2024年4月1日〜2025年3月31日 | 80% |
| 2025年4月1日以降 | 100% |
それより前の年度の扱いは、物件を2021年3月27日の前に取得したかどうかなどで変わります。IRDの利息のページで確認してください。
赤字の扱い(リングフェンシング、ring-fencing)
経費が家賃収入より多くても、その赤字を給料などほかの所得と相殺することはできません。赤字は翌年以降に繰り越し、物件から所得が出た年に差し引きます。
| 対象になる | 対象にならない |
|---|---|
| 個人が所有する賃貸住宅 | 自分が住む家(main home) |
| パートナーシップ、信託、クローズカンパニーが持つ賃貸住宅 | 農地、従業員用の住居、事業用の建物 |
| 短期の宿泊用(Airbnbなど、2022年の所得年度から) | 一般の会社(クローズカンパニー以外)が持つ物件 |
| 海外の住宅 |
複数の物件をまとめて計算する方法(portfolio basis)と、物件ごとに計算する方法(individual property basis)があります。
GST
長期の住宅の賃貸にはGSTがかかりません。短期の宿泊用で、売上が年NZ$60,000を超える場合はGSTの登録が必要です(GST(消費税))。
売却したとき(ブライトラインテスト、bright-line test)
2024年7月1日以降に売却した住宅は、取得から売却までが2年以内だと、売却益が所得として課税されます。
- 始まり:通常、所有権が移った日(決済日)
- 終わり:売却の契約(拘束力のある契約)を結んだ日
自分が住む家として使っていた場合など、条件を満たすと対象外になることがあります。NZの税務上の居住者が海外の住宅を売った場合も対象になります。詳しくはIRDのブライトラインテストのページで確認してください。
海外の物件と非居住者
| 立場 | 扱い |
|---|---|
| NZの税務上の居住者で、海外(日本など)に賃貸物件がある | 海外の家賃収入もNZで申告する |
| 新しく来た人(transitional resident) | 海外の家賃収入が約4年間免税になる場合がある |
| NZの非居住者で、NZに賃貸物件がある | NZの家賃収入はNZで課税される。IR3NRで申告する場合がある |
非居住者が海外からの借入れで物件を買った場合、非居住者源泉税(NRWT)の差し引きが必要になることがあります。非居住者がブライトラインテストの対象となる売却をする場合、住宅用地源泉税(RLWT)が売却時に差し引かれることがあります。居住者かどうかは税務上の居住者、日本との二重課税は日本との租税条約と二重課税を見てください。
手順
- 物件ごとに、家賃収入と経費の記録を残す(7年間保存)。
- 年度(4月1日〜翌年3月31日)が終わったら、物件ごとにIR3Rを作る。
- 確定申告書(個人はIR3、非居住者はIR3NR)と一緒に、myIRで出す。期限は原則7月7日です。
- 赤字が出た場合は、繰り越す額を記録しておく。
- 物件を売るときは、ブライトラインテストの対象になるかを確認する。
日本との違い・注意点
- 日本では、不動産所得は総収入金額から必要経費を引いて計算します(国税庁のページ)。NZも収入から経費を引く点は同じです。
- 日本では、不動産所得の損失は原則として他の所得と損益通算できます。ただし、土地を取得するための借入金の利子に当たる部分は通算できません(国税庁のページ)。NZでは住宅の賃貸の赤字は給料などと相殺できず、翌年以降に繰り越します。
- NZでは、土地と建物の減価償却は経費にできません。
- NZの居住者が日本に物件を持っている場合、日本の家賃収入もNZで申告が必要になることがあります。日本側の申告は税務署か日本の税理士に確認してください。
- 個別の税額や申告の方法は、IRDか税理士(tax agent)に確認してください。