人を雇うときの手続き(Employing staff)
NZで従業員を雇うときは、IRDに雇用主として登録し、書面の雇用契約を渡し、給料を払うたびにIRDへ雇用情報を出します(payday filing)。キウイセーバーの自動加入、最低賃金以上の支払い、外国人の就労資格の確認(VisaView)も雇用主の責任です。
詳細
IRDは、働く人の「いつ・どこで・どのように」働くかを決めている場合、その人の雇用主(employer)にあたると説明しています。正社員、有期雇用、カジュアル(不定期)の人を雇う場合は、雇用主としての手続きが必要です。
business.govt.nzによると、請負業者(contractor。源泉徴収のschedular paymentsの対象者を除く)や無給のインターン・ボランティアだけを使う場合は、雇用主の登録は不要です。
以下は2026年10月時点の内容です。
IRDへの雇用主登録
人を雇い始めたら、すぐにIRDに雇用主として登録します。
- 方法:myIRの「I want to…」から「Register as an Employer (EMP) or IR56 worker」を選ぶ。または紙の申請書IR334を使う。
- 必要なもの:IRD番号、連絡先、業種分類コード(BIC code)、雇用を始める日
- 登録後、IRDから記録・控除・申告・納付の義務を説明する手紙が届きます。
会社を設立するときに、Companies Officeの申請の中で雇用主の登録を選ぶこともできます(会社設立)。
書面の雇用契約
すべての従業員に、書面の雇用契約(employment agreement)を渡す必要があります。個別の雇用契約には、次の内容を入れます。
- 雇用主と従業員の名前
- 仕事の内容と勤務場所
- 勤務時間(時間数、始業・終業の時刻、週の勤務日など)
- 賃金(最低賃金以上)と支払い方法
- 祝日に働いた場合は1.5倍以上(time and a half)を払うこと
- 事業の売却や業務委託のときの従業員保護の規定
- 有期の場合はその旨
- 雇用関係のトラブルの相談方法。個人的苦情(personal grievance)を申し立てる期限(多くの場合90日、セクシュアルハラスメントは12か月)を含む
- 試用期間など、その他の合意事項
署名の前に契約案を渡し、内容を検討する時間を取り、第三者の助言を受けられるようにします。署名した契約は保管し、従業員が求めたら写しを渡します。
90日の試用期間(trial period)
雇用契約に書いて、働き始める前に署名してもらえば、90日以内の試用期間を設けられます。その雇用主のもとで以前働いたことがない人が対象です。認定雇用主就労ビザ(AEWV)の人には、試用期間を設けることはできません(AEWV)。
最低賃金
2026年4月1日からの成人の最低賃金は時給NZ$23.95です。スターティングアウト(Starting-out)とトレーニング(Training)はNZ$19.16です。キウイセーバーの雇用主の拠出は、最低賃金とは別に払います。詳しくは最低賃金と労働者の権利を見てください。
タックスコードと給料からの控除
新しい従業員から、タックスコードを書いたIR330(Tax code declaration)を受け取ります。雇用主は、給料から次のものを差し引いてIRDに納めます。
- PAYE(所得税。ACC保険料を含む)
- 学生ローンの返済(該当者)
- キウイセーバーの本人拠出(加入者)。雇用主の拠出にはESCTという税金がかかります
- 養育費(Child Support。該当者)
IR330が出されない場合は、高い非通知税率で差し引くことになります(所得税とPAYE)。従業員側から見た控除は給与明細の見方にまとめています。
payday filing(給料日ごとの雇用情報の提出)
給料を払うたびに、IRDへ雇用情報(給料日、対象期間、従業員ごとの金額など)を提出します。新しい従業員の情報もこのときに出します。
| 提出方法 | 期限 |
|---|---|
| 電子申告 | 給料日から2営業日以内 |
| 紙 | 給料日から10営業日以内 |
新しい雇用主は最初の6か月はどちらも使えます。その後、年間のPAYEとESCTの合計がNZ$50,000以上なら電子申告が必要です。控除額を払えないときでも、雇用情報は期限までに出すことが大切だとIRDは案内しています。
控除額の納付期限
| 雇用主の規模(年間のPAYEとESCTの合計) | 納付期限 |
|---|---|
| NZ$500,000未満 | 毎月、翌月20日まで |
| NZ$500,000超 | 月2回。1〜15日の支払い分は同じ月の20日、16日〜月末の支払い分は翌月5日(12月16〜31日分は1月15日) |
キウイセーバーの自動加入
雇用主は、加入資格のある18歳以上65歳未満の新しい従業員を、キウイセーバーに自動加入させます。
- 加入資格があるのは、NZに住むNZ市民・永住権を持つ人などです。一時的なビザ(就労・学生・訪問ビザなど)の人は対象外です。
- 働き始めてから7日以内に、キウイセーバーの説明資料(KS3など)を従業員に渡します。
- 本人が拠出している16歳以上65歳未満の従業員には、2026年4月1日から給料の3.5%以上を雇用主が拠出します。
制度の詳細はキウイセーバーを見てください。
就労資格の確認(VisaView)
海外から来た人を働かせる前に、ビザでNZで働けるかを確認する必要があります。就労資格のない人を働かせることは、移民法(Immigration Act 2009)第350条の違反になります。
確認には、Immigration NZのオンラインシステムVisaViewを使えます。
- どのNZの雇用主でも使えます。RealMe®のログインが必要です。
- 姓、パスポートの国籍、パスポート番号などを入力すると、今のビザの有効期限と条件が表示されます。
- 確認の前に、本人の同意(口頭か書面)を得ます。NZのパスポートを確認する場合も同意が必要です。
- VisaViewは本人確認はしません。写真付きの身分証明書で、本人であることを別に確かめます。
- VisaViewで保存した照会記録は、確認をした証拠になります。
記録の保存
雇用主は、賃金・勤務時間・休暇の記録をつけ、従業員が辞めた後も6年間保存します(Employment NZ)。IRDは、税務の目的で賃金の記録を7年間保存するよう案内しています。
職場の安全
雇用主は、働く人の健康と安全を守る義務があります。職場の安全を見てください。
手順
- 雇う人が従業員か請負業者かを確認する。
- IRDに雇用主として登録する(myIRかIR334)。
- 外国人を雇う場合は、本人の同意を得てVisaViewで就労資格を確認し、身分証明書で本人確認をする。
- 書面の雇用契約案を渡し、検討と助言の時間を取ってから署名してもらう。試用期間を設ける場合は、働き始める前に署名してもらう。
- 従業員からIR330を受け取る。
- キウイセーバーの加入資格を確認し、対象者には7日以内に説明資料を渡す。
- 給料を払うたびにpayday filingで雇用情報を出し、期限までに控除額をIRDに納める。
- 賃金・勤務時間・休暇の記録をつけて保存する。
費用
雇用主の登録とVisaViewの利用料金は、IRDとImmigration NZのページには書かれていません。給料のほか、キウイセーバーの雇用主拠出(2026年10月時点で3.5%以上)とESCTがかかります。会計ソフトや給与計算サービスを使う場合は、別に費用がかかります。
日本との違い・注意点
- 給料を払うたびに、IRDへ雇用情報を出す必要があります(payday filing)。電子申告の期限は給料日から2営業日以内です。
- キウイセーバーの自動加入と雇用主の拠出は、雇用主の義務です。
- 雇用契約は必ず書面で渡します。署名の前に、第三者の助言を受ける機会を与えることが求められています。
- 外国人を雇う前の就労資格の確認は雇用主の責任です。ビザの条件によって、働ける仕事や雇用主が限られていることがあります。
- 個別の判断は、IRD、Employment NZ、会計士、雇用法の弁護士に相談してください。外国人の雇用は、Immigration NZか免許を持つ移民アドバイザーに確認してください。