雇用契約書(Employment agreements)
NZではすべての従業員に書面の雇用契約が必要です。個別の契約と、組合が結ぶ労働協約の2種類があります。契約には名前、仕事内容、勤務時間、賃金、紛争の解決方法など決まった項目を入れます。有期雇用には仕事に関わる正当な理由が必要です。
詳細
NZでは、すべての従業員が書面の雇用契約(employment agreement)を持つ必要があります。雇用主は書面の契約を渡さなければなりません。契約に書かれていなくても、法律で決まった最低限の権利(最低賃金、休暇など)は守られます(最低賃金と労働者の権利)。
以下は2026年10月時点のEmployment NZのページの内容です。
個別の契約と労働協約
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 個別の雇用契約(individual employment agreement) | 雇用主と従業員1人が交渉して結ぶ。その人だけに適用される |
| 労働協約(collective agreement) | 組合(union)が組合員に代わって雇用主と交渉し、組合員が承認して組合と雇用主が署名する。2人以上の従業員を対象とする |
労働協約がある職場で個別の契約を結ぶ場合、雇用主は、その協約の組合に入れることと、組合の連絡先を伝えなければなりません。組合については労働組合を参照してください。
個別の契約に入れる項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 当事者 | 雇用主と従業員の名前 |
| 仕事内容 | どんな仕事をするか |
| 勤務場所 | どこで働くか |
| 勤務時間 | 時間数、始業・終業時刻、勤務日など |
| 賃金 | 金額(最低賃金以上)と支払方法 |
| 紛争の解決方法 | 職場の問題を解決する手順。個人的苦情(personal grievance)は原則90日以内、セクシャルハラスメントは12か月以内に申し立てること |
| 祝日 | 祝日に働いた場合の支払いについての記載 |
| 雇用の保護 | 事業の売却・譲渡や業務の外部委託があった場合の取り扱い |
| 有期雇用の場合 | 終わり方とその理由 |
このほか、試用期間など双方が合意した条件を入れます。個人的苦情については個人的苦情の申し立てを参照してください。
雇用主は、署名がなくても契約書(案)の写しを保管し、従業員から求められたら渡す必要があります。書面の契約を渡さない雇用主には、反則金NZ$1,000が科されることがあります。
試用期間(trial period)と見習期間(probationary period)
| 試用期間(trial period) | 見習期間(probationary period) | |
|---|---|---|
| 長さ | 最長90日 | 合意した合理的な期間 |
| 対象 | 新しく雇われる人だけ | 新しく雇われる人、社内で別の仕事に移る人 |
| 条件 | 働き始める前に、書面の雇用契約で合意していること | 雇用契約に書かれていること |
| 期間中・終了時の解雇 | 不当解雇として個人的苦情を申し立てられない | 不当解雇として個人的苦情を申し立てられる |
試用期間中も、賃金、休暇、安全衛生などの権利は変わりません。ビザで働く人を雇う場合、雇用主は試用期間に関する移民上の条件も考える必要があります。
期間の定めのない雇用と有期雇用
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 期間の定めのない雇用(permanent) | 終了日がなく、雇用主か従業員が終わらせるまで続く。フルタイムでもパートタイムでもよい |
| 有期雇用(fixed term) | 決まった日や出来事で終わる。仕事に関わる正当な理由(genuine reason)が必要 |
有期雇用の理由は、従業員の個人的な事情ではなく、仕事に関わるものでなければなりません。雇用主は理由を従業員に伝え、契約書に書く必要があります。
| 正当な理由の例 | 正当な理由に当たらない例 |
|---|---|
| 育児休暇中の従業員の代わり | 従業員が一時的なビザで働いている |
| 果物の収穫など季節の仕事 | 仕事が続くものである(プロジェクトからプロジェクトへ移る仕事など) |
| 1回限りのプロジェクト | 仕事ぶりがよくない |
| 将来仕事が足りなくなるかもしれない |
理由が正当でない場合、雇用主は有期の定めを理由に雇用を終わらせられないことがあります。終わらせた場合、従業員は不当解雇を申し立てられることがあります。
誠実義務(good faith)
雇用主、従業員、組合は、互いに誠実に(in good faith)接しなければなりません。正直であること、誤解させないこと、連絡に応じることなどです。雇用の継続に関わる判断をする前に、雇用主は関係する情報を伝え、従業員が意見を言う機会を設ける必要があります。
契約の交渉も誠実に行う必要があります。雇用主は契約を結ぶときに、休暇法(Holidays Act 2003)上の権利と、組合やEmployment NZで詳しい情報を得られることを伝えなければなりません。
労働協約の交渉(collective bargaining)では、次のことが求められます。
- 交渉のために、ときどき会うこと
- 相手の提案を検討し、答えること
- 主張や回答を裏付けるのに必要な情報を出すこと
- 交渉や相手の立場を損なうことをしないこと
- 合理的な根拠に基づく正当な理由がない限り、協約を結ぶこと
誠実義務が守られない場合は、雇用関係局(Employment Relations Authority)に申し立てることができます。
手順
- 雇用主から契約書(案)を受け取る。
- 持ち帰って内容を読み、わからない点は雇用主に質問する。
- 必要に応じて、署名の前に第三者の助言を受ける。
- 合意したら署名し、写しを保管する。
- 問題があれば、Employment NZのコンタクトセンター(0800 20 90 20)に相談する。
日本との違い・注意点
- 書面の雇用契約は、すべての従業員に必要です。口頭の約束だけでは、雇用主の義務を果たしたことになりません。
- 試用期間(trial period)の期間中や終了時に解雇されても、不当解雇の申し立てはできません。契約書に試用期間があるか、働き始める前に確認してください。
- 一時的なビザで働いていることは、有期雇用の正当な理由になりません。
- この記事は制度の説明です。個別の状況はEmployment NZのページを確認するか、Employment NZや弁護士に相談してください。