従業員と請負業者の違い(Employee or contractor)
NZで請負業者(contractor、自営の人)として働くと、最低賃金や有給休暇などの従業員の権利はなく、税金とACCの保険料を自分で払います。2026年2月21日から、請負業者かどうかを判断する新しい基準(gateway test)が使われています。一部の業種の請負業者は、報酬から税金が源泉徴収されます(schedular payments)。
詳細
NZで働く人は、大きく従業員(employee)と請負業者(contractor)に分かれます。請負業者は自営の人(self-employed)のことで、independent contractor とも呼ばれます。どちらに当たるかで、権利と税金の払い方が大きく変わります。以下は2026年10月時点の内容です。
主な違い
| 項目 | 従業員 | 請負業者 |
|---|---|---|
| 契約 | 書面の雇用契約(employment agreement)が必要 | 業務委託契約(contract for services) |
| 最低賃金 | すべての労働時間に最低賃金以上 | 合意した金額(最低賃金の適用なし) |
| 有給休暇・病気休暇 | あり | なし |
| 個人的苦情(personal grievance) | 申し立てられる | 申し立てられない |
| 仕事の進め方 | 雇用主が仕事、時間、場所を指示 | 自分でいつ、どう働くかを決める |
| 道具・設備 | 雇用主が用意 | 自分で用意 |
| 税金 | 雇用主が給料から天引き(PAYE) | 自分でIRDに納める |
| ACC保険料 | 雇用主が給料から天引き | 自分で払う |
| GST | 不要 | 年NZ$60,000以上の売上でGST登録が必要 |
| KiwiSaver | 雇用主の拠出あり | 雇用主の拠出なし |
| 支払いの受け方 | 給与明細を受け取る | 請求書(invoice)を出す |
新しい判断基準(gateway test)
2026年2月21日から、請負業者かどうかを判断する新しい基準(gateway test)が使われています。次の5つの条件をすべて満たすと、請負業者とされます。
- 書面の契約に、請負業者である、または従業員ではないと書かれている。
- 他の人の仕事をすることが認められている(同時でなければ)。
- 働く時間を自分で選べる、または仕事を第三者に再委託できる。
- 追加の仕事の依頼を断っても、契約が終わらない。
- 署名の前に、第三者の助言を受ける合理的な機会があった。
1つでも満たさない場合は、これまでの判断方法(common law test)で判断します。その場合も、請負業者と判断されることはあります。
新しい基準はさかのぼって適用されません。2026年2月21日より前に始まった契約は、その前の期間はこれまでの方法、2026年2月21日以降は両方の方法で判断します。
これまでの判断方法(common law test)
裁判所などは、次の4つの観点から実態を見て判断します。1つの観点だけでは決まりません。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 意図(intention) | 当事者が何を意図していたか |
| 指揮・独立性(control vs independence) | どの程度指示を受け、どの程度自由に働けるか |
| 組み込み(integration) | 仕事が事業の中にどれだけ組み込まれているか |
| 経済的実態(fundamental/economic reality) | 全体として、経済的に自分の事業を営んでいるか |
本当は従業員なのに請負業者とされた場合
実態が従業員なのに請負業者として扱われると、有給休暇や病気休暇、KiwiSaverの雇用主拠出を受けられず、本来払わなくてよい税金やACC保険料を払うことになります。雇用主の側も、さかのぼった支払いや、IRDやERAからの罰則を受けることがあります。
税金:源泉徴収される請負業者(schedular payments)
主に労働を提供する一部の業種・業務の請負業者は、受け取る報酬から税金が差し引かれます。これを schedular payments と呼びます。給料とは別の扱いです。IRDが挙げる例は次のとおりです。
- 人材紹介会社経由のITプロジェクトマネージャー
- 労働者派遣(labour hire)経由の建設業者
- フリーランスの記者
- 保険の代理店、営業担当
- 報酬を受け取る会社の取締役
- 商業清掃
- 農業・園芸・ぶどう栽培の労働の提供
| 項目 | 内容(2026年10月時点) |
|---|---|
| 申告の方法 | 税率の通知書(Tax rate notification for contractors、IR330C)に記入し、IRD番号を書いて支払う側に渡す |
| 税率の選び方 | 業務ごとの標準税率、自分で選ぶ税率、個別に申請する税率(tailored tax rate)、免除証明書(certificate of exemption) |
| 自分で選ぶ場合の最低税率 | 10%(一時的な就労ビザなどで来ている非居住者は15%) |
| IR330Cを出さない場合 | 45%で差し引かれる(非居住者の会社は20%) |
税率が低すぎると、年度末に税金の不足分を請求されることがあります。IRDの税率の申告のページに、税率の目安を計算するツールがあります。
税金:源泉徴収されない請負業者
schedular payments の対象でない請負業者は、報酬から税金が差し引かれません。自営の人として、利益(売上から経費を引いた額)に対する所得税を、毎年の個人の確定申告で納めます。経費を差し引くための記録を残す必要があります。税額によっては予定納税(provisional tax)も必要です。詳しくは個人事業主と予定納税を見てください。
手順
- 契約書が雇用契約か業務委託契約かを確認する。gateway test の5つの条件に当てはまるかも見る。
- IRD番号を用意する(IRD番号の取得)。
- schedular payments の対象なら、IR330Cに税率を書いて支払う側に渡す。
- 売上が年NZ$60,000以上になる見込みなら、GSTに登録する(GST)。
- 自分が従業員か請負業者かわからない場合は、Employment NZ(0800 20 90 20)に相談する。早期解決(early resolution)や調停のサービスがあります。解決しない場合は、雇用関係局(ERA)に判断を求められます(手数料がかかります)。
日本との違い・注意点
- 契約書に「contractor」と書かれていても、gateway test の条件を満たさなければ、実態で判断されます。
- 請負業者には最低賃金も有給休暇もありません。時給だけで比べず、税金、ACC保険料、休みの分を考えて報酬を確認してください。
- schedular payments でIR330Cを出さないと、45%という高い税率で差し引かれます。
- ビザで働いている人は、請負業者(自営)として働けるかどうか、ビザの条件をImmigration NZで確認してください。
- この記事は制度の説明です。個別の判断はEmployment NZ、IRD、または税理士・弁護士などの専門家に相談してください。