NZの映画と映画産業(New Zealand film and screen industry)
NZの映画づくりは、1978年に法律で設けられたNZ映画委員会(NZFC)が支えています。『The Piano』『ロード・オブ・ザ・リング(The Lord of the Rings)』『Whale Rider』などが世界で知られています。国内外の作品には、NZでの制作費の一部を払い戻す「NZスクリーン制作リベート」があります。
詳細
NZ映画のはじまりとNZ映画委員会
政府の百科事典Te Araによると、NZで初めて映画が上映されたのは1895年、オークランドのクイーン・ストリート(Queen Street)にあったBartlett’s Studiosでした。
1978年には、議会の法律によってNZ映画委員会(New Zealand Film Commission、NZFC)が作られました。1980年代の初めには、1年に何本ものNZ映画が公開されるようになりました。
NZFCは、NZの映像産業を育てる政府機関です。NZFCのページによると、主に次のことをしています。
- NZ映画の開発、制作、宣伝への投資
- 新人からベテランまでの映画制作者への資金とキャリアの支援
- 海外の映画制作者との関係づくりと、NZでの撮影の誘致
- 制作費のリベート(払い戻し)や国際共同制作の取りまとめ
NZFCは、文化と経済の両方の目的のバランスをとることを使命にしています。
主なNZ映画
Te Araの「Feature film」で紹介されている主な作品は次のとおりです。
| 公開年 | 作品 | 監督 | Te Araによる説明 |
|---|---|---|---|
| 1977年 | Sleeping Dogs | ロジャー・ドナルドソン | 俳優サム・ニールと監督の出世作 |
| 1980年 | Goodbye Pork Pie | ジェフ・マーフィー | 国内の興行収入だけで制作費を回収した最初のNZ映画 |
| 1983年 | Utu | ジェフ・マーフィー | 19世紀のニュージーランド戦争を描いたアクション映画 |
| 1987年 | Ngati | バリー・バークレー | 主にマオリの人々が作った最初の長編映画。先住民の文化による世界初の長編映画とされる |
| 1988年 | Mauri | メラタ・ミタ | マオリの女性が監督・脚本を務めた最初の長編映画 |
| 1993年 | The Piano | ジェーン・カンピオン | カンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールを受けた、NZで最初の(2023年時点で唯一の)映画。NZ初のアカデミー賞も受賞 |
| 1994年 | Once Were Warriors | リー・タマホリ | 都市に住むマオリの家族の問題を描いた |
| 1994年 | Heavenly Creatures | ピーター・ジャクソン | クライストチャーチの2人の女子生徒の実話をもとにした |
| 2001〜2003年 | The Lord of the Rings(ロード・オブ・ザ・リング)3部作 | ピーター・ジャクソン | アカデミー賞を合計17部門受賞。3作目はノミネートされた11部門すべてで受賞 |
| 2002年 | Whale Rider | ニキ・カーロ | 主演のケイシャ・キャッスル=ヒューズがアカデミー主演女優賞にノミネート |
| 2005年 | The World’s Fastest Indian | ロジャー・ドナルドソン | 公開当時、NZで最も興行収入の高い映画になった |
| 2010年 | Boy | タイカ・ワイティティ | NZで最も成功したコメディになった |
| 2016年 | Hunt for the Wilderpeople | タイカ・ワイティティ | NZ映画のシュールで反権威的な伝統を受け継ぐ作品 |
映像産業の広がり
Te Araによると、1990年代には海外の作品の撮影がNZで増え、映像産業の成長につながりました。テレビシリーズ『Xena: Warrior Princess』もその一つです。
ピーター・ジャクソンが関わる会社には、Wingnut Films、Park Road Post Production、Weta Workshop、Weta Digital、Stone Street Studiosなどがあります。1990年代には、政府の映画制作所(National Film Unit)がピーター・ジャクソンに売却されました。
NZで撮影された映画のロケ地は、NZの映画のロケ地を見てください。
NZスクリーン制作リベート(NZSPR)
NZで映画やテレビ番組を作ると、NZでの対象となる制作費(Qualifying New Zealand Production Expenditure、QNZPE)の一部が払い戻される仕組みがあります。NZスクリーン制作リベート(New Zealand Screen Production Rebate、NZSPR)といい、NZFCが運営しています。
文化遺産省(Manatū Taonga)によると、この制度は、NZに経済と文化の両面で利益をもたらす作品を呼び込むためのものです。2023年に、「スクリーン制作グラント(Screen Production Grant)」から今の名前に変わりました。
2026年10月時点の主な内容は次のとおりです(文化遺産省のページ、NZFCの海外作品向けのページ)。
| 区分 | 払い戻しの割合 | 政策の担当 |
|---|---|---|
| NZの作品(New Zealand) | 40% | 文化遺産省 |
| 海外の作品(International) | 20%。条件を満たすと5%の上乗せ(uplift)あり | ビジネス・イノベーション・雇用省(MBIE) |
海外の作品が対象になる最低の制作費は、次のとおりです。
| 種類 | 最低の制作費 |
|---|---|
| 実写(長編映画、シリーズ、パイロット版、単発エピソード) | NZ$400万(2026年1月1日より前に主要撮影を始めた作品はNZ$1,500万) |
| ポストプロダクション・デジタル・視覚効果(PDV) | NZ$25万 |
5%の上乗せには、ポイント制の審査などの追加の条件があります。NZの作品の条件や詳しい基準は、NZFCのリベートのページで確認してください。申請を考えている人は、NZFCに問い合わせてください。
NZ映画を観る・知る
- ンガー・タオンガ(Ngā Taonga Sound & Vision):NZの映像・音声のアーカイブです。オンラインで所蔵品を検索でき、訪れて観ることもできます(ンガー・タオンガのサイト)。
- NZ国際映画祭(Whānau Mārama: New Zealand International Film Festival):毎年7月〜8月に開かれます。2026年は7月29日から8月16日まで、オークランド、ウェリントン、クライストチャーチ、ダニーデンなどで上映されました(映画祭の公式サイト)。
ほかのフェスティバルはNZの主なフェスティバルとイベントを見てください。
日本との違い・注意点
- NZでは、NZFCという政府機関が映画の開発から制作、宣伝、海外作品の誘致までを担っています。
- 制作費のリベートは、NZの作品と海外の作品で割合や条件が違います。条件は変わることがあるため、NZFCの最新の情報を確認してください。
- マオリの監督や物語による映画が、NZ映画の歴史の中で大切な位置を占めています。マオリの文化についてはテレオ・マオリの基本表現なども見てください。