民間の医療保険(Health insurance)
NZの民間の医療保険は、公的医療を補うものです。私立の病院や専門医の費用を払うために使われ、待たずに治療を受けたい、医師を選びたいといった目的で入ります。既往症は原則として対象外で、加入時に健康状態を正しく伝える必要があります。トラブルは無料の紛争解決制度に相談できます。
詳細
公的医療との関係
NZの公的医療の対象者は、公立病院の治療のほとんどを無料で受けられます。ただし、急ぎでない治療は待ち時間が長くなることがあります。詳しくはNZの医療制度の仕組みを見てください。
政府のポータルサイトgovt.nzによると、特定の専門医にかかりたい場合や、早く専門医にかかりたい場合は、私立の医療(private)を選べます。私立の医療は政府の補助がなく、費用は自分で払います。民間の医療保険の中には、専門医の診察をカバーするものがあります(govt.nzのページ)。
政府系機関が運営するお金の情報サイトSortedは、医療保険(medical insurance)を「私立病院やその他の医療費をカバーする保険」と説明しています(Sortedのページ)。
| 場面 | 主に使う制度 |
|---|---|
| 事故によるけが | ACC(ACC(事故補償制度)) |
| 病気(公的医療の対象者) | 公立病院・公的な専門医(待ち時間あり) |
| 私立病院・私立の専門医 | 自己負担。民間の医療保険で払える場合がある |
補償されないことが多いもの
保険オンブズマンの制度(IFSO Scheme)は、医療保険がすべての治療・処置・薬をカバーするわけではないと注意しています。よく対象外になるものとして、次の例を挙げています(IFSOのページ)。
- 美容のための処置
- 歯科
- 妊娠に関する治療
- 実験的な治療
何が補償されるかは保険ごとに違います。契約書(policy wording)を手元に置き、補償されるものとされないものを確認してください。
既往症(pre-existing conditions)
既往症とは、加入する時点ですでにあった病気や、その症状・兆候のことです。診断を受けていなくても、症状があれば既往症とされる場合があります(IFSOのページ)。
- 既往症は、保険会社が書面で認めない限り、通常は補償されません。
- 定義は保険会社ごとに違うので、契約書で確認します。
- 加入時に既往症の補償を求めることもできます。保険料が高くなる場合があります。
健康状態を正しく伝える(告知)
保険に申し込むとき、更新するとき、請求するとき、状況が変わったときは、正直で完全な情報を保険会社に伝える必要があります。関係のあることを伝えていないと、支払いを断られることがあります(消費者保護のページ)。
IFSOは、重要でないと思うことも含めて病歴をすべて伝えるよう勧めています。伝えなかった場合は、うっかりでも、請求を断られたり契約を解除されたりすることがあります。
治療の前に保険会社に確認する
IFSOは、医療費がかかる前に保険会社に請求し、補償されるか確かめるよう勧めています。事前に承認を受けないと、思わぬ自己負担になることがあります。
保険を乗り換えるとき
金融市場庁(FMA)は、保険の乗り換えは慎重に検討するよう注意しています。保険料が下がっても、ほかの補償を失うことがあるためです(FMAのページ)。
紛争解決制度のFSCLは、新しい保険の手続き中に症状が出て、その部分が新しい保険で対象外になった例を紹介しています。すでに古い保険を解約していたため、補償のない状態になりました(FSCLのページ)。新しい保険の内容が確定してから、古い保険を解約することが大切です。
保険アドバイザーを使う場合
FMAによると、保険アドバイザーは、勧める保険に関して受け取る手数料(commission)を客に伝えなければなりません。乗り換えを勧める場合は、新しい保険の対象外の項目や制限も説明する必要があります(FMAのページ)。
苦情・トラブルの相談先
- まず、保険会社やアドバイザーに直接苦情を伝えます。
- 解決しない場合は、その会社が加入している紛争解決制度に相談します。加入先は金融サービス提供者登録簿(FSPR)で調べられます。
| 紛争解決制度 | 内容 | 電話 |
|---|---|---|
| Financial Services Complaints Ltd(FSCL) | 保険を含む金融サービスの苦情を扱う。消費者は無料 | 0800 347 257 |
| Insurance & Financial Services Ombudsman Scheme(IFSO) | 保険会社などの苦情を扱う。消費者は無料 | 0800 888 202 |
FSCLの最終的な判断は、事業者に対して拘束力があります。FSCLは、直接の損失についてNZ$500,000まで支払いを求められます(2026年10月時点、FSCLのFAQ)。
手順
- 自分が公的医療の対象かを確認する(公的医療を受けられる人)。
- 民間の保険で備えたいもの(私立の手術、専門医など)を整理する。
- 複数の保険の契約書を読み、補償されるもの・されないものを比べる。
- 申し込むときは、病歴や症状をすべて正しく伝える。
- 治療を受ける前に、保険会社に補償の対象か確認する。
- 問題があれば、保険会社に苦情を伝え、解決しなければ紛争解決制度に相談する。
日本との違い・注意点
- 在ニュージーランド日本国大使館は、NZには日本のような国民保険制度がないと案内しています(大使館のページ)。公的医療を受けられるかは、ビザの種類で決まります。
- 一時的なビザで来る人は、旅行保険や留学生保険も確認してください。
- 事故によるけがは、民間の保険とは別に、ACCが費用の多くを負担します(ACC(事故補償制度))。
- 歯科は医療保険の対象外になっていることがあります(歯科)。
- 保険の選び方や加入の判断は、保険会社や登録された保険アドバイザーに相談してください。この記事は特定の保険を勧めるものではありません。