出産とLMC(Lead Maternity Carer)
NZでは妊娠が分かったら、担当者となるLMC(助産師・GP・産科医)を自分で選びます。LMCは妊娠中から出産、産後4〜6週間までを担当します。市民と永住者の妊娠・出産のケアは無料で、公的医療の対象者のパートナーも対象です(私立の産科医などは有料)。
詳細
LMC(Lead Maternity Carer)とは
LMC(Lead Maternity Carer、担当の出産ケア提供者)は、妊娠中のケア、出産の立ち会い、産後のケアを一貫して担当する人です。産後のケアは出産後4〜6週間です。
LMCになれるのは次の人です。
- 登録された助産師(midwife)
- 出産のケアを行っているGP(かかりつけ医)
- 妊娠と出産を専門とする産科医(obstetrician)
政府のポータル(govt.nz)は、妊娠が確認できたらすぐにLMCを選ぶよう案内しています。
助産師の探し方
助産師は、Find Your Midwifeで探せます。住んでいる地域(suburb、町、市)と出産予定の月を入力して検索します。次のような希望でも絞り込めます。
- マオリやパシフィカの助産師
- 自宅出産
- 対応できる言語
費用がかからない人
govt.nzのページによると、NZ市民と永住者は妊娠中のケアが無料です。ただし、私立の産科医や超音波検査技師(sonographer)を選んだ場合は費用がかかります。市民以外でも、公的な出産ケアの対象になる場合があります。
Immigration NZのページでは、ビザの種類にかかわらず、次の人は公的な出産ケアの対象とされています。
- 公的医療の対象者をパートナーに持つ人
- 難民、または保護(protection)の申請をしている人
- 人身取引の被害者
- 以前は対象だった人で、Interim Visaを持っている人
- 英国の市民(一部のサービスのみ)
Limited Visaを持つ人は、公的な出産ケアを受けられません。
公的医療の対象外の人
観光・留学・就労などの一時的なビザで公的医療の対象外の人は、出産のケアの費用を自分で負担する必要があります。妊娠中にこうしたビザを申請する場合、出産ケアの費用として最低NZ$9,000を用意していることを示す必要があります(2026年10月時点)。
自分が対象かどうかは、公的医療を受けられる人と上記のImmigration NZのページで確認してください。
出産の場所
Find Your Midwifeでは、出産の場所として次の3つを挙げています。
- 自宅:経過が順調な妊娠であれば、助産師と一緒に自宅で出産する計画を立てられます。
- 地域の出産施設(birthing unit):経過が順調な妊娠の人向けの施設です。
- 病院:専門的なケアを受けられます。地域によっては、病院しか選べないこともあります。
出産の場所は、LMCと相談して選びます。状況によっては、途中で計画を変えることもあります。
産後のケアとWell Child Tamariki Ora
出産後4〜6週間は、LMCが産後のケアを担当します。その後は、Well Child Tamariki Ora(ウェルチャイルド・タマリキオラ)という子どもの健康支援につながります。
- 生後6週間ごろから5歳までの子どもを対象に、健康チェックと支援を行います。
- 無料です。
- 通常は、出産後すぐに助産師がWhānau Āwhina Plunketなどのサービスへの登録を手伝います。
- 最後のチェックは4歳で受けるB4 School Checkです。成長、発達、視力、聴力などを確認します。
また、14歳未満の子どもは、登録しているGPの診察が無料になります(ほぼすべてのGPが対応していますが、事前に確認が必要です)。GPへの登録はGP(かかりつけ医)への登録を見てください。
出生登録(Births, Deaths and Marriages)
NZで生まれた赤ちゃんは、すべて出生登録が必要です。通常は生後2か月以内に登録します。
- 登録は原則として両親がそろって行います。
- SmartStartでオンライン登録ができます。
- 登録と同時に、子どものIRD番号も申請できます。番号が届くまで約15営業日かかります。
- 登録自体は無料です。出生証明書(birth certificate)は別に注文し、標準の証明書はNZ$35です(2026年10月時点)。
詳しくはgovt.nzのページで確認してください。
育児休業と育児休業給付
育児休業(parental leave)は、雇用主に申し出る「休業」と、Inland Revenue(IRD)に申請する「給付」に分かれます。
| 制度 | 内容(2026年10月時点) |
|---|---|
| 妊娠中の特別休暇(special leave) | 健診・クラス・検査などのため、最大10日(無給) |
| 主たる養育者の休業(primary carer leave) | 最大26週間。出産予定日などの直前6か月、同じ雇用主の下で週平均10時間以上働いていることが条件 |
| パートナーの休業(partner’s leave) | 最大2週間(無給) |
| 延長休業(extended leave) | 主たる養育者の休業の後に取る、追加の無給の休業 |
育児休業給付(paid parental leave)は、最大26週間(6か月)受け取れます。主な条件は次のとおりです。
- 出産予定日などの直前52週間のうち、いずれか26週間に週平均10時間以上働いていること(会社員と自営業の両方が対象)
- 仕事を休んでいること
- 主たる養育者であること。パートナーは通常は対象外ですが、受給権を移す(transfer)などの場合は例外があります。
会社員の給付の上限は週NZ$811.05です(2026年7月1日〜2027年6月30日)。給付は2週間ごとに口座に振り込まれ、税金などが差し引かれます。申請はmyIRから行います。詳しくはInland RevenueのページとEmployment NZのページで確認してください。
手順
- 妊娠が確認できたら、Find Your MidwifeなどでLMCを探して申し込む。
- 公的な出産ケアの対象かどうかを確認する。対象外なら費用の準備をする。
- 雇用主に育児休業を申し出て、Inland Revenueに育児休業給付を申請する。
- LMCと相談して出産の場所を決める。
- 出産後、SmartStartで出生登録をする(通常は生後2か月以内)。
- 助産師の案内でWell Child Tamariki Oraに登録し、GPにも子どもを登録する。
- 日本国籍の親は、大使館・総領事館に出生届を出す(出生日から3か月以内)。
費用
- NZ市民・永住者:妊娠中のケアは無料(私立の産科医・超音波検査技師を選んだ場合は有料)
- 公的医療の対象外で一時的なビザの人:自己負担。ビザ申請時に最低NZ$9,000の準備を示す必要があります
- 出生登録:無料。標準の出生証明書はNZ$35
- Well Child Tamariki Ora:無料
いずれも2026年10月時点の情報です。
日本との違い・注意点
- NZでは、助産師がLMCとして、妊娠中から出産、産後4〜6週間までを継続して担当できます。担当者は自分で選んで申し込みます。
- 公的な出産ケアの対象かどうかは、ビザの種類やパートナーの状況で決まります。一時的なビザの人は費用が全額自己負担になることがあります。
- NZの出生登録とは別に、日本国籍の親は日本への出生届が必要です。出生日から3か月以内(大使館・総領事館に届く日が期限)です。子どもが外国の国籍も取得している場合、期限を過ぎると日本国籍を失います。詳しくは大使館の出生届のページと大使館・総領事館の手続きを見てください。
- 体調や出産方法については、LMCや医療者に相談してください。この記事は制度の説明です。